Neil Young「Harvest Moon」
CD『Harvest Moon』Reprise WPCP-4992(1992)
 僕はNeil Youngの熱心なリスナーではありませんが、この曲はリリース当時本当によく聴きました。今でもイントロのアコギの旋律を聴くと、オレンジ色に輝く大きな満月の下に広がる広大な麦畑のど真ん中に佇んでるような感覚に陥ります。「中秋の名月の下で、もう一度君の踊る姿が見たい…」という歌詞も素晴しい。
 "20年後の『Harvest』"というコンセプトで制作された『Harvest Moon』は、フォークやカントリー・スタイルの曲をアコースティックな楽器のみで表現したアルバムで、当時カントリーやルーツ・ミュージックが好きだった自分の趣向とぴったりの内容でした。かつてはハーレーでハイウェイを疾走していた2児の母親のことを唄う冒頭の「Unknown Legend」から、鈴虫の鳴き声のようなSEで終わる 「Natural Beauty」まで全10曲。離婚問題から湾岸戦争、環境問題までアメリカの抱える様々な問題を声高ではなく静かに、そしてちょっとノスタルジックに歌っています。Ben Keithのスティール・ギターやSpooner Oldhamのキーボード、そしてJames Taylor、Nicolette Larson、Linda Ronstadtのコーラスが醸し出す音像はどこを切ってもアメリカであり、このCD1枚だけ持ってアメリカ横断旅行でもしたい気分にさせてくれます。
 以前作った「月の曲ばかり集めたテープ」では、この「Harvest Moon」の次にPaul Simonの『Graceland』に収録の「Under African Skys」を繋げました。今思えば2曲ともLinda Ronstadtのコーラスが入っているんですね。彼女のコーラスには清光な輝きと母なる大地に抱かれるような温もりが同居しており、聴く者を至福の時間に誘います。この2曲のメドレーを聴いて「音楽に癒される」とはこういう瞬間なんだなとつくづく思いました。