Nick Lowe「My Heart Hurts」
LP『Nick The Knife』Columbia PC 37932(1982)
 若い時に出会って大きな影響を受けたという点では、自分にとってThe BeatlesとThe Beach Boysに匹敵するほどの存在であるNick Lowe。高校2年の時にコパトーンのCMで「I Knew The Bride」を聴いて一聴ボレした以来だから、かれこれ20年以上ファンを続けています。Paul McCartneyほど直球じゃないけどElvis Costelloほど小難しくない、Dave EdmundsよりポップでJeff Lynneより毒気がある、ホントにこの人くらい奇跡的なバランスでセンスのいい人は、英米ロック史を見渡しても中々見当たらないと思うのです。
  そんなNickの長い活動の中で個人的に好きな時代はというと、パンク・シーンの兄貴的存在だったスティッフ時代と、バック・バンドであるCowboy Outfitとの活動を経てアーシーな側面を強めていくまでのちょうど間の時期、すなわちレーダーからF-Beatの初期あたりということになります。分かりやすく言うと、Nickが一番ポップだった時期です。アルバムでは『Labor Of Lust』から『The Abominable Showman』までの3枚。そのちょうど真ん中のソロ3作目『Nick The Knife』はとにかく曲が粒揃いで、Rockpileの名曲のダブ風カヴァー「Heart」や、ロマンティックなレイン・ソング「Raining Raining」、当時奥さんだったCarlene Carterに書き送った「Too Many Teardorops」、アコギのイントロがグルーヴィーな「Let Me Kiss Ya」など、ポップ職人の技炸裂しまくり。1曲を選ぶなら、マージービート直系の甘酸っぱさと、自身が弾くPaul McCartneyばりの"歌う"ベース・ラインが最高にクールな「My Heart Hurts」を選びます。告白するとこの曲、全てのNick作品の中で一番好きなんです。