村松邦男「Sunrise Twist」
Mini LP『Tourist』Japan Record 18JAL-3(1984)
 『ロンバケ』と『FOR YOU』が印象付けた"ポップス=夏"というイメージは、その後の音楽シーンに猛スピードで浸透していって(今思えば)バブルに向けて疾走を始めた日本を後押しするような、前向きな時代の眩しい空気感を如実に表していたように思います。「夏の音楽が好きだから夏が好きになった」という本末転倒な言い分も、そんな80's初頭に青春を過ごした僕のような人間にとっては十分有りなのではないでしょうか。
 80年代に入りソロ・ワークスを始めた村松邦男さんの『GREEN WATER』に続く2作目。当初は春夏秋冬の4枚のミニ・アルバムを出して、最後に『フォー・シーズンズ』というフル・アルバムにまとめる計画だったそうです。その第1弾「夏」として企画されたのが本作で、サマー・ポップス集になったのはそのせいです。1曲目「Sunrise Twist」から疾走するビートと目眩くコーラスが夏全開。他のアルバムよりもビートが強調されエコーも深め、そしてアレンジがカラフル!4曲しかないのを悔しがりながら何回針を落としたことでしょう。
 以前インタヴューで「音楽の原体験は?」との質問に「やっぱりBeatlesかなあ」と答えていた村松氏。「シンプルなメロディに巧妙なアレンジ」といった印象が強いのは、やはりBeatlesの遺伝子の成せる技でしょうか。氏のベスト盤『Do You Believe In Magic? :Anthology 1975-1986』には、Todd Rundgren、Billy Joel、Jeff Lynne、Captain & Tenille、10cc、Nick Loweといったキーワードが浮かんでくる「これぞポップス!」というような曲が満載で、その好曲製造家ぶりには驚かされます。昨今のJ-POPSシーンでは失われつつある瑞々しい音楽の輝きに満ち溢れていて、過ぎ去った眩しい夏を想い起こすようなノスタルジックな気分になってしまいます。