J.D.Souther「Don't Know What I'm Gonna Do」
LP『Home By Dawn』Warner Brothers WB-25081(1984)
 大滝さんは『ロンバケ』を作る際に、Executive Producerの朝妻一郎氏に「雰囲気でいえばJ.D.Southerの『You're Only Lonely』みたいなレコードを作りたい」と言ったそうですが、それは「60'sポップス的なメロディをコンテンポラリーなアレンジで聴かせるアルバムを作りたい」というような意味合いだったのではないでしょうか。そういう意味でもこのJ.D.Southerという人は、60'sアメリカン・ポップスという自分の基本趣向を、カントリー・ロックやAORといった時代の音に寄り添いながらも実に上手く表現してきた人だなあと思います。
 大ヒットした『You're Only Lonely』の5年後にリリースされた本作は、前作の路線を受け継ぎながらも更に一歩深まった感がある味わい深い作品です。全曲ナッシュビル録音のタイトな演奏に、相変わらずの美メロの嵐。「Night」という曲なんてElvis Costelloの「Veronica」と伊藤銀次氏の「ビューティフル・ナイト」を組み合わせたような曲で、時代の相互関係を考えると実に興味深いです。この「Don't Know What I'm Gonna Do」という曲は前作の「The Last In Love」の系統を受け継ぐドリーミーな小品で、この人の(というかこの世代の西海岸ミュージシャンの全てに言えることだけど)Roy OrbisonやThe Everly Brothersへの愛情が切ないほど伝わってきます。
 Eaglesのナンバーで好きな曲には大抵この人のクレジットが入っていて、高校時代に貸しレコード屋でソロ・アルバムを全部借りてきて録ったテープがボロボロになり、先日本作のアナログ盤を中古で買ったら、なんと450円。最近はこういう"安くて濃い"アルバムを買い直して聴き直すのが幸せになっています。