Fairground Attraction「Allelujah」
LP『The First Of A Million Kisses』RCA PL 71696(1988)
 今までの音楽人生で見逃したのを一番後悔しているライヴは、89年のFairground Attractionの来日公演。当時予備校生だったのでお金も精神的余裕もなく、大好きだったグループにも拘らず涙を飲んでパスしたのですが、何とその数週間後に解散が決定、来日公演だけでなくグループの存在自体が伝説となってしまいました。それ以来、唯一残されたアルバム『The First Of A Million Kisses』を聴きながら、次の彼等を探し求めていたような気がします。ギタリスト兼ソングライターのMark E.Nevinのユニット"Sweetmouth"も、Eddi Readerのソロも素晴らしかったけど、やっぱりFairgroundの魅力には叶わない。メロディ、ヴォーカル、サウンド、ジャケットに至るまで、こんなにも自分の価値観にフィットするグループってもう一生出会えない気がします。
 "西へ向かう道路の灯りが連なっている 百万もの車が家路を急ぐ アイスクリーム屋の車はピカピカのベルのマークをしまい込んだ 冬はもう遠くない"
 「Allelujah」という曲の出だしはこう始まります。毎年木枯らし1号が吹く初冬の頃に聴きたくなるのはこの歌詞のせいでしょうか。このあと歌の主人公は、好きな人を毎日見かけるけど恥ずかしくで声をかけられないと告白しているのですが、当時この恋愛の不器用さになんとも心打たれました。実際Mark E.Nevinという人は女性にフラれてばかりで、メンバーに「ヤツに彼女が出来たらグループは終わりだ」なんて冗談を言われるほどシャイな性格だったようです。どんどんズル賢くて下世話な世の中になっていく昨今、僕の中でこういう「内気で繊細な音楽」がますます価値のあるものになっていくような気がします。