Billy Field「You'll Call It Love」
LP『Bad Habits』Warner-Pioneer P-11078J(1981)
 中学3年の時、キリンのウイスキー「NEWS」のCMで流れていたオールド・ジャズ風味の曲が気になってレコードを必死になって探したことがありました。そのインパクトあるシガレット・ヴォイスの持ち主をどうしても探し出したいと思い、駅前の「友&愛」でダミ声を発しそうな顔を持つアーティストを片っ端から借りてきたりしました。結局その時は分からず仕舞いでしたが、かなり経った後、とあるレコード屋の店内でいきなり流れてきた時は思わず声を発するほどの驚きと、懐かしさを伴う喜びに打ち震えました。
 そのダミ声の持ち主がこのBilly Fieldで、曲は「You'll Call It Love」でした。長門芳郎氏のライナーによれば、オーストラリア出身の当時28歳のBillyは、70年代初頭にKing Foxなるバンドでトップ10ヒットを放ったことのある経歴の持ち主。一時期牛の飼育業をしていたものの、本作『Bad Habits』でソロ・デビューを果たし、本国ではリリース初日に2千枚を売る大ヒットになったのだそう。とにかく80年代前半というテクノ/ニュー・ウェイヴな時代に、このノスタルジーさは相当過激だったと思います。若い頃から時代に逆行するクセのある自分が反応したのも頷けるわけでして、Tom WaitsやHurricane Smith、Steve Tyrellなどの"ダミ声系"を追いかけるきっかけにもなりました。それと特筆すべきはこの人、メロディ・メイカーとしても相当な実力の持ち主で、特に「You'll Call It Love」「You Weren't In Love With Me」「If I Was A Miillionaire」といったバラードと、「恋とタバコとスウィングと」という粋な邦題が付いた「Bad Habits」や「Since I Found Out」のスウィンギーな4ビート・ナンバーは見事な出来映え。捨て曲は一切無い、最高にハッピーなアルバムです。