Craig Nuttycombe「Sunshine」
LP『It's Just A Lifetime』A&M SP-4683(1978)
 Craig Nuttycombeというシンガー・ソングライターを知ったのは10年以上前のこと。行きつけの中古レコード屋で試聴したのがきっかけでした。その時に聴いたのがこの「Sunshine」という曲で、ハート・ウォームな声と穏やかなメロディが心地良く身体に染み込んでいきました。それ以来『It's Just A Lifetime』というアルバムは愛聴盤になるのですが、好きになればなるほど、名前もちゃんと読めないこのアーティストへの興味は深まるばかり。当時はネットで調べても、プロデューサーのGlyn Johnsのサイトに引っ掛かるだけで、Craig本人の情報は全く掴めませんでした。しかししばらくすると、Craigが70年にLambert & Nuttycombe名義で発表したアルバム『At Home』を入手したり、90年代に発表された3作品が国内発売されたりして、徐々に彼の音楽活動の全貌が明らかになっていきます。そして遂に2002年11月、奇跡的に来日した彼のライヴを観ることができたのです。その時の彼の音楽性は『At Home』の頃と何一つ変わっていませんでした。John Sebastian辺りを思わせるナイス・フォークスで、Peter Gallwayを太くしたような、Hirth MartinezとHurricane Smithを足して2で割ってアクを取ったような、誠実で人なつっこい声も昔のまま。変わっていくことを強制されているような社会で日々生きている僕らにとって、Craigの優しい声は"別に変わらなくていいじゃん"と言っているようでした。"ただのちっぽけな人生なんだから…"と。この「Sunshine」の最後には、Stevie Wonderの「You Are The Sunshine Of My Life」の一節が歌われます。僕はそこが大好きで、"たとえちっぽけな人生でも太陽は輝くのさ"と勝手に解釈して明日もがんばろうと思うのです。