The Belmonts「Rock And Roll Lullaby」
LP『Cigars, Acappella, Candy』Buddah BDS-5123(1972)
 Dionと別れたThe Belmontsが1972年に出したアカペラ・アルバムです。Dion & The Belmontsとして59年に発表したシングルA面の「Where Or When」とそのB面「That's My Desire」、The Crystalsの「Da Doo Ron Ron」、The Four Topsの「Loving You Is Sweeter Than Ever」、 Doo Wopクラッシックスの Robert & Johnny「We Belong Together」など、とにかく泣かせる選曲。当時ヒットしたばかりのGeorge Harrisonの「My Sweet Load」に、The Chiffonsの「He's So Fine」のコーラスを織り込むなどの茶目っ気も最高。でも何と言ってもため息が出るほど素晴らしいのは「Rock And Roll Lullaby」でしょう。特に出だしのコーラスには耳をすまさずにはいられない感動的な響きがあり、B.J. Thomasのオリジナルで聴かれるDuane Eddyのギターのイントロにも匹敵します。Barry Mann屈指の名曲の本質を、声だけで表現したもう1つのオリジナルと言っても過言ではないと思います。アルバムの最後はDoo Wopが最も輝いていた50年代中期から60年代初期にかけてのヒット曲を、メドレー形式で盛り込んだ「Street Corner Symphony」で幕を閉じます。
 The Belmontsのアカペラには何か特別な魅力があるようです。ものすごい美声の集合でもないし、一糸乱れぬ超絶テクのハーモニーでもない、なんともユル〜イ庶民派アカペラとでもいうか。スタジオでのレコーディングでも、そんなストリートと同じ感覚で歌っていたのでしょう。だからこそ僕は何度も聴きたくなってしまうような気がします。人間の肉声だけでこんなにも感動できる喜びを感じたいのです。