Smokey Robinson & The Miracles「Ooo Baby Baby」
LP『Going To A Go-Go』Tamla Motown 11024(1965)
 『永遠のモータウン』という映画は、モータウンの最盛期を支えたミュージシャン集団、The Funk Brothersの功績を讃えたドキュメンタリーで、今までほとんど語られてこなかった影武者たちの実像を30年の時を超えて浮かび上がらせた価値のある作品でした。面白かったのは当時のレコーディング秘話で、故James Jamersonが立てなくなるほど泥酔して寝ながらレコーディングした話や、「What's Going On」で印象的なコンガを叩いているEddie "Bongo" Brownが楽譜台にいつもグラビアを置いていた話、遅刻癖のあるドラムのBenny "Papa Zita" Benjaminが遅刻した時の荒唐無稽な言い訳の話など、ヒット生産工場と言われた彼らにしては実に人間臭い話ばかりでした。
 さて個人的にモータウンと聞いてまず頭に思い浮かべるアルバムが本作。Bob Dylanも絶賛したSmokey Robinsonの歌詞が感動的な「The Tracks Of My Tears」、前述のBenny "Papa Zita" Benjaminの強烈なリズムで始まるダンス・ナンバー「Going To A Go-Go」、モータウン産バラードの中でも屈指の名曲「Ooo Baby Baby」、この冒頭3曲で完全にノックアウト。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったモータウンの魅力が全て詰まったと言っても過言ではないでしょう。その勢いが躍動的なジャケットにも表れていて、個人的には60年代のアルバム・カヴァーでもかなり上位に入るほど好きです。本作から1曲を選ぶならLinda RonstadtもTodd Rundgrenも山下達郎もカヴァーした「Ooo Baby Baby」でしょうか。Smokey Robinsonのファルセットが昇天モノで、"タイム・マシンがあったら生で聴きたい曲"筆頭ナンバーです。