『メリーに首ったけ』
「There's Something About Mary」(1998年 アメリカ)
 アカデミー賞獲りまくりの感動巨編や、小洒落たヨーロッパ映画などを観ていると、たまに最高に下らないバカ映画を観たくなりませんか?そんな時にお薦めなのが『メリーに首ったけ』です。
 ザッカー兄弟の『トップ・シークレット』(84年)を100倍バカバカしく&ヤバくしたような内容に、映画館で大爆笑しながら観ました。ラヴコメ風ストーリーに過激な下ネタ、動物虐待ネタ、身体障害者ネタ、精神障害者ネタまでをもねじ込ませたファレリー兄弟のセンスに、当時映像制作会社で脚本を書く仕事をしていた僕は「ここまでやっていいのかっ!」と驚いたものです。しかしこういった類の笑いに慣れていない日本人は眉をひそめる人続出で(実際、友達の真面目な奥様はひきまくりだったとか…)映画館も外国人しか笑っていなかったけど、個人的にはこの毒気満載の笑い、死ぬほど好きです。整髪料と間違えて男性の精液を髪につけて微笑むキャメロン・ディアスの屈託のない可愛さは、一時期ラヴコメの女王と言われた正当派メグ・ライアンには到底出せないでしょう。彼女はこの後、同じ路線の『クリスティーナの好きなこと』(02年)などにも出演し、お下劣ラヴコメ路線を極めた感があります。
 この映画のもう1つの魅力はやはり音楽。ストーリー・テラー役で出演もしているジョナサン・リッチマンのほのぼのした音楽が、本作の毒気を浄化しているような気もします。実はこの人、元々はヴェルヴェット・アンダーグランド直系バンド、ザ・モダン・ラヴァーズ出身の、30年以上のキャリアを持つベテラン・ロックンローラー。未だ1度のブレイクも無いけど世界中にマニア多しの愛すべきカルト・ミュージシャンなのです。