『スティル・クレイジー』
「Still Crazy」(1998年 イギリス)
 バンド物の傑作2本を紹介します。まずは知る人ぞ知るカルト・コメディ『スパイナル・タップ』(82年)。架空のバンドのアメリカ・ツアーの模様を収録した偽ドキュメンタリー映画です。イギリス出身のこのバンドの前身は1965年結成のテームズメン(これがもろビートルズで笑える)で、67年にスパイナル・タップと改名、82年までに15枚のアルバムをリリース…なんていう設定も全部ウソっぱちなんですが、とにかく出てくるエピソードが笑えるものばかり。例えば、メンバーがプログレ組曲風の大作「ストーンヘンジ」という曲を作曲し、18フィートの巨大ストーンヘンジのセットを組むことになったが注文ミスで18インチの極小サイズが届いてしまったり、楽屋からステージへ行く通路で迷子になったり、ダブルネックのギターと思いきやよく見るとどっちもベースだったり、ヴォーカルの彼女がバンド内の事に口出ししてリード・ギタリストが辞めてしまったり(よくありそうな話です)、その後バンド名がスパイナル・タップ・マークⅡとなったり、人形劇と一緒の舞台に立ったり、日本のみで人気が出てジャパン・ツアーを決行したり(そのライヴで巨人のユニフォームを着て演奏したり)…。これが監督デビューのロブ・ライナーは自らインタビュアーで出演、曲も書いています。
 もう1本は『スティル・クレイジー』。こちらはもうちょっと泣ける感じです。70年代イギリスの伝説的なロック・バンド、ストレンジ・フルーツのメンバーが、落ちぶれた現状打破のため再結成し、ロック・イベント「ウィズベック'98」出演を目指してドサ廻りのツアーへと繰り出すという内容。脚本はあの名作『ザ・コミットメンツ』(91年)を生み出したコンビで、音楽好きにはツボ突かれまくりのエピソードにニヤリの連続です。