『バーディ』
「Birdy」(1984年 アメリカ)
 本作に出会ったのは高3の時。美術予備校で出会った友達が薦めてくれました。そいつはプログレが好きで、本作の監督アラン・パーカーが1つ前に撮ったピンク・フロイドの『ザ・ウォール』(82年)という音楽映画を激賛していました。そして本作の音楽をピーター・ガブリエルが担当していたことも彼の興味を惹いたようです。
 ベトナム帰還兵のアル(ニコラス・ケイジ)は、同じくベトナムのショックで心を閉ざし精神病院に入れられている友人のバーディ(マシュー・モディーン)を救おうとあらゆる手を尽くします。一言も喋らず、ただ鳥のように身体をたたみ窓を見続けるバーディに、アルは本来の彼の姿を思い出させようと少年時代の2人のエピソードを語り続けます。貧しい街を舞台にした幼馴染みの2人の楽しい時代と、精神病棟の暗い現実が交互に語られるうち、鳥が好きで心優しいバーディがなぜそのような状態になってしまったのかが明らかになっていきます。
 青春映画であり反戦映画でもありますが、僕は同時期に流行った『プラトーン』(86年)や『フルメタル・ジャケット』(87年)といったベトナム戦争そのものを描いた映画よりも、戦争の怖さ、虚しさを本作から感じました。直接的ではない方が本質を語る時もあるんだ…と。A・パーカーは英国人らしく、繊細で奥深い映像センスを駆使してぐいぐいと観る者をひっぱります。次作『エンゼル・ハート』(87年)も大好きな作品ですし、音楽好きが爆発し『ザ・コミットメンツ』(91年)という傑作も生み出した彼は、僕の中では信用できる監督の1人です。
 本作はP・ガブリエルの音楽も素晴らしいのですが、なぜかリッチー・ヴァレンスの曲が執拗に使われます。ラストで使われる「ラ・バンバ」のタイミングは絶妙で、映画史に残るエンド・クレジットだと思っています。