『断絶』
「Two-Lane Blacktop」(1971年 アメリカ)
 以前からバイクや車が出てくるロード・ムービーに思い入れがあって、昔では『バニシング・ポイント』(71年)、最近でも『モーターサイクル・ダイアリー』(04年)や『世界最速のインディアン』(05年)などは大好きな映画です。旅に付きものの寂寥感や疎外感が、ある種のロマンティシズムを喚起するのでしょう。
 ロード・ムービーと言えばアメリカン・ニューシネマということで、伝説のロード・ムービーでありニューシネマでもある『断絶』という映画も好きな1本。本作の存在を知ったのは1991年に刊行された『エスクァイア』日本版別冊の記事でした。大好きなミュージシャンであるジェイムス・テイラーとデニス・ウィルソンが共演しているカルト映画ということで大変興味を持ったのですが、当時は未ソフト化で観ることはできませんでした。その後95年にシネ・ヴィヴァン六本木で念願のリヴァイヴァル上映となって遂に観ることが出来たのですが、なぜかその後も日本ではDVD化されず、2007年にようやくソフト化を果たしました。
 ドライヴァーとメカニックという2人のカー・フリークが55年型シボレーの改造車でL.A.から中西部に向かって旅をする…というただそれだけの内容で、別にドラマティックなストーリーが展開するわけではありません。ただ無気力なデニス・ウィルソンの表情と、退廃的で空虚なアメリカの風景が強烈に心に焼き付きました。本作が持つどうしようもない閉塞感は、1971年のアメリカそのままだったのでしょう。その寒々しいほどのリアリティはこの後、ジム・ジャームッシュ、ヴィム・ヴェンダース、ヴィンセント・ギャロの作風へと受け継がれていくことになリます。