『ザ・ラトルズ 4人もアイドル!』
「The Rutles」(1978年 イギリス)
 ビートルズが出てこないビートルズ映画は最近でもよく作られています。ビートルズのカヴァー・ナンバーを上手くストーリーに絡めていた『アイ・アム・サム』(01年)や、ビートルズの曲を使用してミュージカルに仕上げた『アクロス・ザ・ユニバース』(07年)など。しかしなんといってもこの手の映画の最高峰は『抱きしめたい!』(78年)でしょう。今は巨匠となったロバート・ゼメキスが監督/脚本を担当したビートル・マニアを題材にした映画で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85年)的ツボを突いた面白さ満載の名作。ジョンのリッケンバッカーを抱いて悶える女や、ホテルのベッドの下に忍び込んでメンバーの足を見て気絶する女など、ファンなら誰もが共感する名シーンが続出です。ビートルズ・ファンじゃなくても楽しめる、全ての映画ファンにお薦めの愛すべき音楽映画です。
 さて同じ年にイギリスで作られた、もう1本のビートルズ系おバカ映画が『ザ・ラトルズ 4人もアイドル!』。ご存知モンティ・パイソン・チームがブラックな感性を結集して作ったビートルズ現象のパロディ作品(元々はテレビ・シリーズ)。対象がデカいほど面白いというパロディ精神の基本姿勢と、本家に対する愛情、その結果の"やりきった感"は、笑い疲れた後に静かな感動を呼び起こします。まじめな顔してインタビューに答えるポール・サイモンやミック・ジャガー、なに気に出てくる今は亡きジョージも素敵です。楽曲の方も全てパロディながら高クオリティの名曲ばかり。ジョン役のニール・イネスが2001年の初来日ライヴで「Get Up And Go」を演ってくれた時は泣きました。