『グッバイガール』
「The Goodbye Girl」(1977年 アメリカ)
 いつも男に逃げられてばかりいる子持ちのダンサー(マーシャ・メイソン)と、ヒッピー崩れの売れない役者(リチャード・ドレイファス)が、ちょっとした手違いで始めた同居生活のドタバタを描いたコメディ。最初はいがみ合っている2人が次第に心惹かれていくというプロットは、ソフィスティケイテッド・コメディの元祖と言われている『或る夜の出来事』(34年)から延々と続くハリウッドの黄金パターンですが、この映画の特筆すべき点は何と言ってもセリフの面白さ。2人がケンカした時のマシンガン・トークや、マーシャ・メイソンの娘が発する小生意気な言葉の数々など、脚本のニール・サイモンが得意とする粋なセリフの応酬は見事。この脚本のセンスは日本のトレンディ・ドラマにも影響を与えたと思われ、例えばキムタク主演の『ロングバケーション』には本作を下敷きにしたシーンが多数観られます。 また、劇中に、映画出演のチャンスを掴んだドレイファスにメイソンが「アカデミー賞を獲ってね」と励ますシーンがありますが、実際にドレイファスは本作で77年のアカデミー主演男優賞を獲得しています。更にこの映画を忘れられないものとしているのは、ラストシーンに流れるデヴィッド・ゲイツの「グッバイ・ガール」という曲。映画の内容とリンクした歌詞と、あまりにも優しいこのメロディを最後に聴きたいがために、何度も観直してしまいたくなります。
 デヴィッド・ゲイツは60年代初頭からベーシスト、作曲家、アレンジャーなどの裏方で活躍してきたアメリカン・ポップスの重要人物。70年代にブレッドで大成功を収めた後ソロに転向し、この「グッバイ・ガール」の大ヒットを生むのです。