『セッソ・マット』
「Sesso Matto」(1973年 イタリア)
 今振り返っても90年代初頭の東京で巻き起こったサントラ再発ムーヴメントは刺激的でした。60's〜70's産の映画のオリジナル・サウンドトラック盤に閉じ込められたジャンルレスな音の自由な空気は、サバービアやフリーソウルといったキーワードと共に盛り上がりを見せていた東京の音楽シーンと完璧にリンクしていたのです。当時すみや渋谷店で、「アルマンド・トロヴァヨーリの最高傑作!」と謳われていた本作のアナログ・サントラ盤を買ったのもその頃。喘ぎスキャットとしてはシルヴィアの「ピロー・トーク」と双璧を成すと思われる悶絶のオープニング曲を聴いて、いつか映画も観てみたいと思い続けて10年、遂に2005年にリヴァイヴァル上映が決定し、映画館でようやく本編を観ることができました。
 公開当時イタリアでは興行成績2位という大ヒットとなった本作は、音楽から予想される通りの小粋なオムニバス・セックス・コメディでした。乗り物の中でしか燃えないカップル、蝋人形で作った妻を妄執する男、マフィアのボスにセックスで復讐する未亡人、老女マニア…など様々な性癖を持つ男女の9編の物語を、当時最もセクシーな男性・女性といわれたジャンカルロ・ジャンニーニ&ラウラ・アントネッリの2人が見事に演じ分けています。特に気に入ったエピソードは、アントネッリの修道女コスプレが最高にエロい「海外勤務のイタリア男」と、70'sイタリアン・モダンなインテリアが満喫できる「ご招待」の2本。見えそうで見えない寸止め感にはちょっと物足りなさを感じましたが、どのエピソードにもちゃんとニヤリとさせるオチがあってすごく良く出来た映画でした。