『ナック』
「The Knack...and how to get it」 (1965年 イギリス)
 小学校6年の時に毎日午後6時から日テレで再放送されていた『モンキーズ・ショー』と、そのちょっと後に地元のビートルズ祭で観た映画『ア・ハード・デイズ・ナイト』。現在に至る僕の60'sポップス好きは全てこの2つから始まったのですが、その両方に絡む偉大な映像作家が今回紹介するリチャード・レスターです。その彼が65年に撮ったのが本作。思えば91年に小西康陽氏と加藤ひさし氏による尽力で今は亡きシネ・ヴィヴァン・六本木で日本初公開された時に観て、そのグラフィック・センス溢れる映像美やクールでジャジーな音楽、ナンセンスなギャグに感動しまくり、すぐさま大学でオマージュ作品を作ったりするほどハマったのがこの映画なのです。
 元々はロンドンとニューヨークで大ヒットしたアン・ジェリコーの同名の舞台劇を映画化した作品。「The Knack」とは"女の子をモノにするためのコツ"のことで、モテモテ野郎のドラマーとモテない数学教師と田舎娘が繰り成す大混乱を、スラップスティックかつスタイリッシュに描いています。レスターにとっては『ア・ハード・デイズ・ナイト』(64年)と『ヘルプ!』(65年)の間の作品であり、フィルムの逆回転や早廻し、静止画像の挿入やモンタージュなど、ヤリたい放題。その甲斐あってカンヌ映画祭グランプリを受賞しています。物語よりもノリやグラフィック感覚を重視した作風は後の映像作家に多大な影響を与え、上記の『モンキーズ・ショー』でもパクりネタの嵐。更に本作のもう1つの魅力は音楽で、ジョン・バリーのクールなオルガン・ジャズは最高のカッコ良さ。更に更に当時ジョン・バリーの妻だったジェーン・バーキンや、エキストラ出演しているジャクリーヌ・ビセット、シャーロット・ランプリングのデビュー作でもあります。その美しさだけでも観る価値ありです。