『幸せはパリで』
「The April Fools」 (1969年 アメリカ)
 ジャック・レモンという素晴らしい役者を知ったのは一連のビリー・ワイルダー作品だったと思います。ジャック・レモンは音楽的才能にも恵まれた役者で自身でも数枚アルバムを出していますが、今回はジャック・レモンが出演した映画の中で、個人的に一番音楽が良かったと思う作品『幸せはパリで』を紹介しましょう。
 ジャック・レモンとカトリーヌ・ドヌーヴがパーティで知り合って駆け落ちをするまでを描いたロマンチック・コメディですが、映画的価値からみると名作の多いジャック・レモンの作品群の中ではちょっと地味かも知れません。でも音楽がとにかく素晴らしいので、大好きな映画の1つです。
 まずタイトル曲「April Fools」はご存知バート・バカラック作品。パーシー・フェイス・オーケストラの甘く切ない演奏はカトリーヌ・ドヌーヴのため息が出るほどの美貌を更に惹きたてます。冒頭のパーティ・シーンでかかるスキャットを交えたモンゴ・サンタマリアによるラテン・ナンバー「LA LA LA」や、2人がディスコに行ったシーンに流れるチェンバーズ・ブラザーズのブラスの効いたソウル・ナンバー「Wake Up」、他にもタジ・マハールやロバート・ジョンなんていう人の曲も入っていて、69年というヒップで雑多な時代性を感じます。
 サントラ盤は2人のセリフのダイアログで曲を繋げていくという素晴らしい構成で、映画のシーンが次々と思い出されて実にいい感じ。ちなみに映画のラストにはディオンヌ・ワーウィックの切ない歌声でタイトル曲が流れますが、権利関係のためかコロンビアのオリジナル・サントラ盤にはディオンヌのヴォーカル・ヴァージョンは入っていないのが残念。