『真夜中のカーボーイ』
「Midnight Cowboy」 (1969年 アメリカ)
 都会の孤独と友情を描き、69年度のアカデミー賞作品、監督、脚本賞を受賞したアメリカン・ニューシネマの大傑作。この映画は音楽担当のジョン・バリーの仕事っぷりと言うよりも、ニルソンの「うわさの男」の名唱に尽きますね。主演のジョン・ボイドが都会での活躍を夢見て東部へ旅立つシーンは、望遠やカットバックを多用した演出と、この歌の飄々とした魅力と相まって忘れがたい名シーンになっています。個人的にも「音楽と映像がピッタリ合ったシーン・ベスト3」に入るほど好きなシーン。ニューシネマ作品はどれも音楽の使い方が本当に上手いです。
 ニルソンは本作のために「孤独のニューヨーク」(名盤『ハリー・ニルソンの肖像』に収録)という歌を書き下ろしていますが、どうやら監督のジョン・シュレンジャーに却下されたらしいです。曲自体は「うわさの男」と同じくカントリー風のすごくいい曲なんですが、歌詞の内容も含めて映像とどちらが合うかと言われればやっぱり「うわさの男」に軍配が上がるでしょう。ニルソンにしてみれば他人の曲(フォーク界の重鎮フレッド・ニールの作詞/作曲)よりも自分の曲で勝負したかっただろうなぁ。
 もう1つ、僕はこの映画を観る度にサイモン&ガーファンクルの「ボクサー」という曲を思い出します。N.Yの冬の寒さ、挫折感といったイメージがかぶるからですが、ダスティン・ホフマン=『卒業』(67年)=S&Gという連想にもよるのかな。とにかくアメリカ自体が冬の時代に入っていく象徴みたいな映画ですね。
 ちなみに衝撃のラストに流れるハーモニカはトゥーツ・シールマンズによるものだと、今回観直して発見。