『007/カジノロワイヤル』
「Casino Royale」 (1967年 イギリス)
 バート・バカラックが65年〜70年にかけて生み出した音楽には神憑かり的な凄さがあり、どの作品も楽しく美しいバカラック・マジックを堪能できるのですが、映画音楽に限って言うと『何かいいことないか子猫チャン』(65年)『紳士泥棒/大ゴールデン作戦』(66年)、『007/カジノロワイヤル』の3枚は驚異的な充実作です。3部作と言っていいほど多くの共通点があり、特に『何かいいこと〜』にはマンフレッド・マンの「My Little Red Book」、『紳士泥棒〜』にはホリーズの「After The Fox」、『カジノ〜』にはダスティ・スプリングフィールドの「The Look Of Love」というように、必ずイギリスのアーティストのヴォーカル曲が収録されているのがたまらない魅力です。映画的な共通点は3作ともピーター・セラーズが出演していることくらいでしょうか。
 『007/カジノロワイヤル』は映画的には何かとキワモノ扱いされていますが、イアン・フレミングの007シリーズ堂々の第1作目であり、制作者も最初はショーン・コネリーで撮りたがっていたそうです。しかし蓋を開けてみれば、脚本は支離滅裂(何とビリー・ワイルダーまでが脚本に関わったとか!)、5人の監督が交代で勝手に撮りまくった結果、なぜかジェームズ・ボンドも7人に増え、薄着の姉チャンは出まくるわ、UFOは飛んでくるわ、カウボーイの集団はくるわ…まあ、やっぱりキワモノ映画ですね。これではマイク・マイヤーズの標的にされても仕方が無い(『オースティン・パワーズ・シリーズ』の元ネタ満載!)。しかしサイケでゴージャスでキッチュなスウィンギング60'sを味わえるという意味では、『ジョアンナ』(68年)や『茂みの中の欲望』(67年)などとタメを張る愛すべきカルト映画と言えるのではないでしょうか。