『明日に向って撃て!』
「Butch Cassidy And The Sundance Kid」 (1969年 アメリカ)
 恐らく初めて買ったサントラ盤は『明日に向って撃て!』でした。同じ時期に買った『スティング』(73年)のサントラと共に、何度聴いたか分からないほど好きな作品です。本作の音楽を担当したのは御存知バート・バカラック。既にポップス界で成功を収めていた彼の余裕の仕事ぶりを堪能できますが、やはり本作の音楽を楽しむには映像を観ながらをお薦めします。例えばB.J.トーマスが歌う主題歌「雨にぬれても」は、ヒットしたものと本編に使われているものは違うヴァージョン。「On A Bicycle Built For Joy」という本編のタイトルからも分かるように、ポール・ニューマンとキャサリン・ロスが自転車に乗りながら戯れるシーンに流れます。ヒット・ヴァージョンにはないマーチ風のインストゥルメンタル部分が挿入され、即興で演じられたというこの名シーンと完璧なマッチングを見せます。このシーンは何度観ても幸せな気分にさせてくれますね。その他にも、ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドがボリビアで再び悪事を繰り広げるシーンで使われる「South American Getaway」は、男女混声スキャットが最高にお洒落なジャズ・ワルツで、ここでも編集と音楽が最高のタッグを見せています。アメリカン・ニューシネマの功績の1つは、今までのミュージカル映画などとは全く違う方法で、音楽(ロックやポップス)と映像が歩み寄ったことにあります。その後のMTVやPVの萌芽がすでに見え始めていますよね。
 映画に関しては名作中の名作なので何も言うことはありませんが、今までのジョン・ウェイン等に代表されるマッチョな西部劇と違って、ただひたすら逃げたり言い訳したりする人間臭いブッチとサンダンスの2人の言動が最高に愛おしく、そしてちょっと切なくさせてくれます。