『ぼくの伯父さんの休暇』
「Les Vacances De M.Hulot」(1953年 フランス)
 ジャック・タチの『プレイタイム』(67年)を初めて観たのは1992年、シネマアルゴ新宿でのジャック・タチ映画祭においてでした。上映後その映画的至福に酔ったあまり、バイクで来たのを忘れて地下鉄で帰ってしまったほどでした。それ以後タチ狂いは増すばかりで、大学在学中にはタチに捧げるサイレント短編映画を制作して(主演/脚本/監督は自分、音楽はもちろんタチ映画のサントラを使用)、芸術祭で上映してしまったことさえあります。その後も「とにかくもう一度観たい!」という切なる想いは、いつになってもビデオにもDVDにもならないという本作品への扱いの低さに比例して増していくばかり(現在はDVD化になってます)。そして10年後の2003年、閉館する渋谷パンテノンでの『プレイタイム(新世紀修復版)』の70ミリ上映を見逃すという大ポカを演じた後、六本木ヒルズで開催された「ジャック・タチ フィルム・フェスティバル」でやっと念願の再会を果たしたのです。その『プレイタイム』の何がそんなに凄いのかというのはここで。
 さて『プレイタイム』がビートルズで言うところの『サージェント・ペパー』だとすれば、この『ぼくの伯父さんの休暇』は『ア・ハード・デイズ・ナイト』になると思います。あの「ユロ」というキャラクターが初めて登場した記念すべき作品で、僕は毎年夏になると必ず観たくなります。子供が浜辺ではしゃぐ声と波の音、そしてあのアラン・ロマン作曲のジョージ・シアリング風テーマ曲を聴くだけで、理想の夏のイメージに浸ることができます。ロケ現場である北仏のはずれ、サン=マルク・シュール・メールの海岸に行ってこのテーマ曲を聴くのが夢。そろそろ実現したいなぁ。