『陽のあたる場所』
「A Place In The Sun」(1951年 アメリカ)
 『陽のあたる場所』は10代の時に観て印象深かった1本。一般的にはエリザベス・テイラーの美しさと共に記憶されている名画ですが、当時の僕は本作が描く"どうしようもない男の性"に対して強い共感を抱いたものでした。
  ストーリーは、貧しい男が叔父の会社に就職し同僚の女性と恋仲になるが、昇進し上流階級の美女と知り合って愛し合う過程で、妊娠したその元同僚の女を疎ましく思うようになり、明確な殺意はないものの結果的には殺してしまうというもの。要は最高の彼女をGetした瞬間イマイチな元カノを捨てた男の話なわけで、この筋書きだけなら女性は「最低!」と声を荒げるはず。しかし当時のマッチョな映画スターとは一線を画すモンゴメリー・クリフトの終始思い悩むような繊細な演技からは、打算的な側面は一切感じられません。更に同僚の女性を演じたシェリー・ウィンタースの幸の薄そうな暗い印象や自分を卑下した言動に比べて、上流階級の美女を演じたエリザベス・テイラー(当時19歳!)の何と眩しいことか。貧しい境遇から純粋に"陽のあたる場所"へと渇望したモンゴメリー・クリフトへの共感も男なら仕方がないことかなと。しかし罪は罪。死刑場へ歩いていくモンティの顔のアップに、甘美なリズとのキス・シーンがディゾルヴするという演出に、心が掻きむしられるようなやるせなさを感じたものです。
 ちなみに『狩人の夜』(55年)『ロリータ』(62年)『ポセイドン・アドベンチャー』(72年)『グリニッチ・ビレッジの青春』(76年)など、怪作、快作にことごとく顔を出していたシェリー・ウィンタースは2006年に85歳で逝去。20世紀を代表する名バイプレイヤーでした。