『永遠のモータウン』
「Standing In The Shadow Of Motown」(2002年 アメリカ)
 モータウンといえば主に60's〜70'sにヒットを量産したレーベルとして有名ですが、その音楽性を語る時、必ずと言っていいほどマーヴィン・ゲイやスティーヴィー・ワンダーなどのアーティストが主体であり、バックのミュージシャンはほとんど語られてきませんでした。本作はそんなモータウンの最盛期を支えたミュージシャン達、ファンク・ブラザーズの功績を讃えたドキュメンタリー映画です。
 面白かったのはやはり当時のレコーディング秘話。伝説の故ジェームス・ジェマーソン(b)が立てなくなるほど泥酔して寝ながらレコーディングした話や、「ホワッツ・ゴーイン・オン」で印象的なコンガを叩いているエディ"ボンゴ"ブラウンが楽譜台にいつもグラビアを置いていた話、遅刻癖のあるベニー"パパ・ジータ"ベンジャミン(dr)が遅刻した時の荒唐無稽な言い訳、昼間のスタジオ仕事の後に夜な夜なナイト・クラブで繰り広げられたジャム・セッションの話など、ヒット生産工場と言われた彼らにしては実に人間臭い話ばかり。中には切ない話も多く、例えばあの「マイ・ガール」のイントロのギターを弾いている故ロバート・ホワイトが、後年レストランで偶然「マイ・ガール」がかかった時、周りの人達に「これは自分が弾いてる」とは言えなかった理由として「老いぼれの戯言と思われるよ」と答えているエピソードは、どんなにアーティストや曲が有名になっても、彼ら自身には全くスポット・ライトが当たらなかったという歴史を裏付けています。
 本作は数々のノンフィクション賞を受賞、ファンク・ブラザーズもその年のグラミー功労賞に輝くという幸せな結末まで生むことになったのですが、彼らが得た栄光は当然のことだと思います。