『リトル・ミス・サンシャイン』
「Little Miss Sunshine」 (2006年 アメリカ)
 ポルノ雑誌愛好家でヘロイン中毒の祖父、勝ち組になるために仕事のことしか考えていない父、失恋して自殺を図ったゲイの叔父、ニーチェの影響で頑なに沈黙を貫く息子、小太りでメガネでお世辞にも可愛いとは言えないくせにビューティ・クイーンになることを夢見ている娘、そして皆を何とかまとめようと苦心する母…。集まればいつもケンカばかりしているそんな家族がある日、"リトル・ミス・サンシャイン"という美少女コンテストに娘の参加が決定したことから、全員でボロボロのフォルクスワーゲン・ミニバスに乗り込み一路カリフォルニアに向かう…。無謀とも思えるこのブッ飛んだキャラ設定を使って、いかにリアルで心に響くストーリーを作るか。脚本を担当した新人マイケル・アーントはその難問を見事にクリアし、めでたくアカデミー脚本賞を受賞しました。
 アメリカという国はただでさえバラバラな民族で構成されているので、最小単位の組織である家族の結束を最重要事項と考えます。今も昔もハリウッド映画のテーマの多くが"家族愛"なのはそのせいですが、王道の泣かせ系の描き方よりも、本作のようなブラック&オフビートな描き方の方が個人的には好きです。同じくブラックな風刺満載で家族の崩壊を描いた『アメリカン・ビューティー』(99年)が脚本賞を受賞した時、アメリカの抱える闇の深さに驚きましたが、本作ではその闇に一筋の光が与えられているような気がします。ともあれ、娘がコンテストで意味不明な踊り(そのブス可愛いさといったら!)を見せ、他人の目もはばからずそれを必死で応援する家族の姿に爆笑&号泣。それは負け組家族が、勝ち負けよりも大事なものを掴んだ瞬間でした。
 「ひょっとして自分は負け組?」と思っている人にお薦めです。