『ビヨンド the シー 〜夢見るように歌えば〜』
「Beyond The Sea」(2004年 アメリカ)
 本作は50年代末から60年代にかけて活躍したポピュラー歌手、ボビー・ダーリンの伝記映画です。髪の毛が薄いことと顔つきが似ていることなどの共通点を活かし、ケビン・スペイシーがなりきっていることにまず驚かされますが、なんと彼はボビーの大ファンで10年の月日をかけて映画化を実現させたそうです。成功した役者が権力を使って個人的な趣味丸出しで企画した映画は大抵コケると相場が決まっていますが、僕はそういう作品にとても愛情を感じてしまいます。売れ線なんか狙わずに、本当に好きなことに打ち込んでいる人を見るのは実に楽しい。本作でもクセのある性格俳優という、今までの彼のイメージからは想像できないほどのエンターテイナー振り。あの『セブン』(95年)の怖い凶悪犯がジーン・ケリーばりに踊っているんだから驚きです。吹き替え無しの歌も、ボビーのシナトラ譲りのタメを効かせた歌唱法を完璧に再現してました。ちなみにボビーの元奥さんは女優のサンドラ・ディー。僕はこの人の名前は忘れちゃっていたのですが、あの『避暑地の出来事』(59年)のヒロインだったんですね。本作でもサンドラ役のケイト・ボスワースが純真無垢なイメージを上手く出していました。悲しいことにサンドラ・ディーは2005年、63歳で亡くなってしまいました。今頃天国でボビーと再会しているかも…。
 高校時代に『グローイング・アップ5 ベイビー・ラブ』(84年)のサントラに入っていた「Dream Lover」や「Splish Splash」で僕はボビー・ダーリンを初めて意識しました。ボビー・ヴィーやボビー・ヴィントンなどの他のボビー達とは違い、自分で曲を書けることに驚きました。L.A.に行った時に中古レコ屋で1ドルで手に入れた「Mack The Knife」のオリジナル・シングル盤は宝物。今でも大好きなシンガーです。